行政書士は「ビザ・在留資格のプロ」であり、「渉外戸籍(外国人の身分関係・婚姻や相続)のプロ」でもある
フィリピン人が再婚するための要件4つ
①死別した
②失踪などにより推定死亡の判決+登記
③婚姻の取消し・無効の判決+登記
④外国人(フィリピン人から見て)と婚姻した場合はフィリピン家族法26条の2項を満たす
フィリピン家族法26条2項とは
簡潔に言うと、
「フィリピン人が外国人と結婚した場合、その外国人が離婚できるのに、フィリピン人だけ離婚できず意味のない婚姻に縛られるのは不合理だ」というものです。
フィリピン家族法では、原則的には「離婚」を認めていません。
しかし、上記のように婚姻が無効であったり、死別したり、外国人と離婚した場合等においては、再婚が可能となっています。
昨今では、日本人とフィリピン人の婚姻が増え、フィリピン家族法26条の2項を使用するケースが増えています。
フィリピン家族法26条2項を使って再婚する方法は
①離婚承認の判決を得る(フィリピンの裁判所)
以前は、離婚ができないフィリピン人の考えから、フィリピン人から離婚を求めてはならず、
「外国人である相手(日本人配偶者)から離婚訴訟を起こし外国人である相手(日本人配偶者)がその母国(日本)において適法に離婚し、外国人である相手(日本人配偶者)が再婚できるようになった」
場合のみ、その結果としてフィリピン人も再婚ができるとうのが、フィリピン家族法26条2項の通説でした。
そのため、日本の離婚の大半である「協議離婚」はフィリピン人が離婚に積極的に応じているというところから認められませんでした。(子供を人質に離婚を迫られたなどものすごく特殊な事案で低確率で認められるケースもあったようです。)
しかし、現在では、
「意味のない婚姻にフィリピン人だけが縛られるのは不合理だ」という26条のもともとの考えに立ち返って、フィリピン人から離婚を求めた場合(協議離婚でも)26条の2項は成立する。つまり離婚承認判決を得られるというようになりました。
②婚姻要件具備証明書を取得する(在日フィリピン大使館)
26条2項で離婚判決を得れば、再婚するために、「登記(登録)」することは要件ではありませんが、実務上、フィリピン大使館にて登記(登録)しなければ、婚姻要件具備証明書を取得することができず、再婚手続きは難航となります。
婚姻要件具備証明書が取得できれば、通常の婚姻手続を行います。
問題は取得できなかったときです。
③フィリピン家族法に基づいて婚姻要件具備や離婚の有効性等を立証
上記の大変の作業を行っていくことになりますが、
上記を論じるためには、「登録ができない特段の事情」を説明しなければなりません。
以前は、協議離婚が離婚承認判決で認められないためこの特段の事情が説明できていたのですが、
今日では、協議離婚も承認判決が得られるようになってしまったので、承認判決を得られない特段の事情があまり考えられなくなったんですね。
「お金がかかるため裁判できない」などでは特段の事情にならないでしょう。
そのため、フィリピンでの承認判決を行ってもらうというのが、とりあえずは今後の第一提案となりそうです。。。
それができないときは、特段の事情をひねり出すという形ですね。